2026/08/04 14:26
私は25年間農業高校で高校教師として働いてきました。農業高校ではたくさんの授業を担当し、生徒と一緒に野菜づくりもたくさんやりました。
農業高校の野菜の授業で、ジャガイモを収穫するときに「ジャガイモが“いた”」という言い方をする生徒がよくいました。野菜が「出来た」ことを「大きくなってくれた」と言い、自分が育てた野菜を「子どもたち」と呼ぶ生徒もいました。
私が思うに、野菜づくりは気持ちのうえでは子育てに似ています。
親が子どもに願うしあわせは、何よりも「元気に丈夫に育ってほしい」ということだと思います。
育て方に正解はありませんが、自然の中で太陽を浴び、風を感じながら育てることが大切だと思います。栄養のある食事をゆっくり食べ、しっかり眠り、できるだけ薬には頼らず、いろいろな人との関わりの中で育てます。少しぐらいのすり傷は勲章です。
有機野菜づくりは、そんな思いを野菜に置き換えることだと思います。
ビニールハウスや温室ではない露地栽培で、季節にあった旬の野菜を作ります。栄養分はすぐに効く化学肥料ではなく、よく噛んで食べる食事のように、有機肥料をゆっくり吸収させます。農薬は使いません。単一栽培ではなく、いろいろな野菜を一緒に育てます。少々の傷や形の悪さは野菜が懸命に生きた証です。
そうして育った野菜を「おいしい」と食べてもらい、食べた人が元気になってくれることが、野菜たちのしあわせだと思います。
(私の経営する農業法人の名前「しあわせ野菜畑」は、「しあわせな野菜を育てたい」という想いから生まれました)
オーガニック(有機農業)であることは目的ではありません。元気な野菜を育て、それを笑顔の食卓につなげるための手段です。
農作業は、暑かったり寒かったり、体力を使って大変なこともあります。そんなときには、笑顔の食卓を思い浮かべます。お客様の「おいしい」や「ありがとう」の声を想像すると、「私たちを、そこに届けてね」と応援してくれている野菜たちの声が聞こえてくる気がします。
(NPO法人代表 大角昌巳)

