2026/08/04 14:30

私はもちろん農作業は好きなのですが、やってみるとなかなか大変です。作業の終わりに「疲れたなあ」と感じる時、思い出す言葉があります。私が高等学校で教員をしていた時、生徒を引率してオーストラリアへホームステイに行った頃のエピソードです。

滞在中、オーストラリアでのホームステイ先のホストファミリーたちとのパーティーが開催されたことがありました。

現地のパーティーでは、生徒たちと一緒に英語で日本の文化を紹介するコーナーが企画されており、出発前から何度も練習を重ね、本番に臨みました。

パーティーのあと、ホストファミリーから “Good Job”(いい仕事だったね!)と声をかけてもらい、とても嬉しかったことを覚えています。

この時のことを思い返して、「Good Jobを日本語ではなんと表現するのだろう」と考えたものでした。

日本語では、仕事が終わると「お疲れ様」や「ご苦労様」といった言葉をかけ合います。ねぎらいの言葉ではありますが、そこには「仕事は疲れるもの、苦労するもの」という前提があるように感じます。

私が取り組んでいる有機農業は、露地での多品目栽培(たくさんの種類の野菜を少しずつ作ること)が基本です。野菜の種類もたくさんありますので、作業は多岐にわたり、機械化も難しく、体力も必要です。夏の猛暑の中での作業は過酷です。

私は47歳の時に就農したので、農作業を始めた頃は慣れるまで大変でした。家に帰っても、つい「今日も疲れたなぁ」と口にしてしまうことも多く、よく妻からは「好きでやっているのだったら、“疲れた”ってあまり言わないほうがいいよ」と言われたものでした。

こういう経験を重ねていって、私はかつてのホストファミリーからもらった“Good Job”(よくやりました)という表現を思い出します。

確かに体は疲れるし夏の作業は過酷です。でも、嫌になったことはなく毎日充実感を得ることができること、それが自分にとっての農業です。単純に疲れたり、苦労するものとは少し違います。そう考えた時に、この“Good Job”という表現が、一番しっくりくるような気がするのです。

有機野菜の栽培では、畝づくり、苗の植え付け、草取り、収穫など、毎日異なる作業があります。自分がやった仕事の成果が目に見える形で現れます。手をかけた野菜たちが、どこか嬉しそうに自分にお礼を言っている声が聞こえてきます。

1日の終わりに、「今日もよくやりました」と自然と自分に “Good Job” と声をかけたくなる、それが有機農業です。

(NPO法人代表 大角昌巳)

そして不思議なことに、そうやって自分に“Good Job”と言っていると、疲れもそれほど感じなくなてきます。